
2020年世界的に新型コロナウイルスが蔓延しました。不要不急の外出を控えるように政府から発表があり、企業ではリモートワークが推奨されています。
リモートワークは会社に出社しないで働けるので、通勤の手間がなくなり、自分の時間が取りやすくなります。さらに、周囲に人が少ない環境で業務を行うため、邪魔が入らず業務の生産性を向上する傾向が強いです。
しかし、日本でテレワークを実施すると生産性が最も上がりづらい状況という調査結果があります。2020年にレノボ・ジャパンが世界各国でテレワークの調査を行ったところ、日本は約40%の方が「テレワークでは、オフィス勤務時よりも生産性が下がる」と回答しました。
アメリカや中国、イギリス、フランスなど他の主要国は約10%なので、非常に高い結果です。日本だけ生産性が低下している原因には、根深い「日本式コミュニケーションの文化」が挙げられます。
そこで、この記事ではテレワークで生産性を下げる原因となる、日本人が持つコミュニケーションの特徴を解説していきます。またテレワーク時代に求められる能力も解説するので、業務を行うときの参考にしてみてください。
日本型コミュニケーションの特徴

日本型コミュニケーションの特徴は何でしょうか。日本だけテレワークで生産性が下がる結果になっているのは、コミュニケーションの仕方が原因です。しっかり日本型コミュニケーションを把握したいところです。
こちらでは以下の特徴を解説していきます。
- 結論は後回し
- 曖昧な表現を好む
- 意見の対立を回避する
- 言外の意味を察する必要がある
- 暗黙知を前提に業務が進む「ハイコンテキスト文化」
- 上位の理由から、対面コミュニケーションに大きな意味があった
それぞれ参考にしてみてください。
結論は後回し
日本人は結論を後回しにして、説明を前にする傾向にあります。そのため、相手に伝えたい主旨がうまく伝わらないことがあるでしょう。
自分の話に突っ込まれないようにすると、どうしても全ての情報を伝えようとします。その結果、結論を話す前に、経緯や説明などを話してしまいます。
話が長くなる傾向にあり、聞き手の集中力が途中で切れてしまうのです。何を言いたいのかがわからないことにつながります。
特にテレワークでは、コミュニケーションが取りづらく、簡潔に物事を伝えるのが必要です。コミュニケーションをとるときは、結論を先に伝えて、話したいことを理解してもらってから詳しい説明をしましょう。
曖昧な表現を好む
会話の中で曖昧な表現を使用する方も少なからずいるでしょう。欧米人と比較して、日本人は曖昧な表現を好みます。
明確な表現をすると責任が発生します。責任を分散させるために、明確な表現を避けて曖昧な言葉を使うのです。何か問題があったときに、一人が責められないように配慮されてきたのが原因と言えます。
また日本人は協調性が高いです。話し合いをするとき、自分だけでなく周囲の意見を参考にしながら結論を出していきます。さらに生活において、自然にその場の状況や雰囲気に合わせた行動をとるケースがあります。周囲への遠慮や気遣いから、曖昧な表現を使用する要因になったのでしょう。
そのため、ビジネス現場で曖昧な表現を使うことが多く、自分の意見が伝わりづらくなります。
意見の対立を回避する
日本人は協調性を重要視するので、意見の対立を回避する傾向です。そのため、周囲の目を気にして自分の意見が言えなかったり、行動できなかったりします。
日本の学校教育では全員が同じリズムで生活するので、集団行動の大切さを学びます。自然と周囲の目を気にするようになり、同じ行動を取るようになるでしょう。その結果、和を乱さないために意見の対立を回避するケースがあります。
仕事においても相手の意見を尊重して、意見をまとめることが多いでしょう。
言外の意味を察する必要がある
日本には「空気を読む」といった言葉がありますが、欧米にはない言葉です。言葉を発さなくても、行動や表情などで、その人の考えを理解できます。
学校教育で「周りに迷惑をかけない」と教えられて育つので、集団意識が強い傾向にあります。はっきりした言葉を言うと疎外されると考えてしまい、自然に空気を読んだ行動を取るようになるでしょう。
テレワークでは相手の行動や表情などがわかりません。言葉だけでコミュニケーションを取らないといけないので、生産性が低下する原因になるでしょう。
暗黙知を前提に業務が進む「ハイコンテクスト文化」
ハイコンテクスト文化とはコンテクスト(文脈・背景)の重要度が高いコミュニケーション文化です。一言で表すと「空気を読む文化」であり、日本はハイコンテクスト文化と言えます。従業員同士の価値観や経験が近い状態なので、言葉のコミュニケーションが少なくても業務が進むケースがあるでしょう。
一方でローコンテクスト文化もあります。ローコンテクスト文化とは言語を使用してコミュニケーションを行う文化です。曖昧さがなく伝えたいことをはっきり言わないと、意味が伝わらないのが特徴です。
テレワークではメールやチャットでのコミュニケーションが増えました。言葉で詳しい状況を伝えなくてはなりません。そのため、相手の意図を察し合うハイコンテクスト文化の傾向が強いと、意思の疎通ができないことになるでしょう。
上位の理由から、対面コミュニケーションに大きな意味があった
日本人のコミュニケーションは、対面で行うのが前提で考えられています。特徴として言葉に依存しないので、はっきり物事を伝えられないことが多いです。そのため、言葉に依存するコミュニケーションが求められるテレワークでは、生産性の低下につながります。
対面でコミュニケーションをすることで業務がスムーズに進み、生産性の向上が期待できます。
テレワーク時代に求められる3つの能力

テレワーク時代に求められる能力には何があるのでしょうか。
求められる能力を把握していると、適切なコミュニケーションが取れて生産性向上を見込めます。
こちらでは以下の能力を解説します。
- 論理思考力
- シンプルに図解できる能力
- ファシリテーション能力
一つずつ解説するので、活用してみてください。
論理思考力
論理思考力(ロジカルシンキング)は筋道を立てて物事を考える力です。ビジネスにおいて幅広いシーンで活用できる能力なので、身につけておくと非常に役に立ちます。
論理思考力がないままコミュニケーションをとると、言っていることが伝わらなかったり、やろうとしていることが適切なのかわからなかったりします。そのため、いつも以上にコミュニケーションに時間がかかる可能性があるでしょう。
特にテレワーク環境であれば、対面と違ってコミュニケーションにタイムラグが発生します。短い時間で簡潔に話をする必要があります。
さらに身振り手振りも使えないので、相手の考えていることを言葉だけで理解しなければなりません。
「聞く」「話す」どちらの場面でも論理思考力は非常に重要です。
シンプルに図解できる能力
テレワーク環境でのコミュニケーションは、メールやビジネスチャットが中心です。話したい方の席に行って会話したり、気軽に複数人で会議をしたりができなくなりました。最小限のコミュニケーションで自分の考えていることを伝えるために、シンプルに図解できる能力が重要です。
図解できる能力があれば、詳しい説明をしなくても図を見るだけで、相手が考えていることの理解ができます。不必要なコミュニケーションを削減できるので、業務効率化につながるでしょう。
また、テレワークのなかで打ち合わせをする場合、ビデオ会議システムを使用することになります。画面に資料を映すと自分の表情が見えなくなるので、言葉だけで説明をしなければなりません。誰でもわかる資料を作成する必要があります。
資料がわかりづらいと、言葉だけで理解しないといけないので、聞き手に負担をかける可能性があります。さらに、多くの質問を受けることになる、会議時間が長引く原因にもなるでしょう。
テレワークではシンプルに図解できる能力を身につけて、相手の負担を軽減するコミュニケーションを行うのが必要です。
ファシリテーション能力
ファシリテーション能力とは、会議を円滑に進めることです。参加者の発言を促し、意見をまとめながら会議をサポートします。
テレワークにおいて、ビデオ会議でのファシリテーション能力が必要になります。ビデオ会議は相手の表情が読み取りづらく、複数人が同時に話せません。さらにネットワーク環境によって、タイムラグが発生するので、会議についていけない方も出てきます。
そのため、ファシリテーターが会議を仕切って、時間内にゴールへ向かう必要があります。
またファシリテーションをするために、以下が重要です。
- 会議冒頭から参加者同士が発言しやすい雰囲気を作る
- 全員の意見を引き出す
- 参加者の発言を要約して、合意を形成する
- 意見の対立時に、解決に導く
上記を参考にして、生産性を向上させる会議を行いましょう。

